
フリーランスという働き方に「人とあまり関わらずに、自分のペースで働ける」というイメージを持っていた方も多いのではないでしょうか。
かく言う私もその一人で、以前は「パソコンに向かって、もくもくと一人で仕事をこなす強くてかっこいい人」がフリーランスのイメージでした。
でも、実際に10年以上この働き方を続ける中で、「完全にひとりで完結する仕事ばかりではない」と実感する場面が数多くありました。
この記事では「人と関わることが苦手」な私が、仕事を続ける中で気づいたことや、少しずつ楽になった工夫をお伝えします。
フリーランスの仕事でも、人との関わりが必要な場面とは?
実際、「人と関わらずにできる仕事」も確かにあります。
たとえば業務内容が明確で、納品までの流れがすでに決まっている案件であれば、必要最低限のやりとりだけで完結します。
けれど、仕事の幅を自分で広げようとしたときや、提案や企画型の案件、プロジェクトの進捗やチーム連携が必要な業務に携わろうとすると、自然と「人との関わり」が増えていきます。
・クライアントはどんなスタイルを求めているのか?
・社内のスピード感やチーム体制はどうなっているのか?
・誰がどんな業務を担い、誰に権限があるのか?
・こちらからの提案に対してどう返ってくるのか?
そうした「曖昧な部分」をすり合わせるには、指示待ちや納品の形だけでは足りなくなってきます。
こちらから「こうしましょうか?どうですか?」と問いかけたり、不明確なものに対して「こういう感じのものですか?」とサンプルを複数用意したり「今こうなっていますが、この方向で合ってますか?」と確認したり。
ひとりで完結できる仕事は存在しますが、私の場合は単価や裁量も限定的なものが多いです。
報酬が高く責任の重い仕事は、丁寧な人との関係づくりがより必要になるな~とこれまでのお仕事から実感しています。
関わることを避けた結果どうなった?失敗から学んだ教訓
過去に「これまでと同じ内容でお願いします」といわれた業務で、事前確認(コミュニケーション)を省いてしまった結果、細かな仕様が違っていたというミスがありました。
そのときに学んだのは、「関わることを省くと、かえって仕事の質を落とすリスクがある」ということでした。
「前もやったし、ひとりで完結できるはず」と思い込んでおり、自分からの確認を怠ったことで、クライアントの信頼まで損ねてしまいました。
このとき学んだのは、たとえ「これまで通り」といわれても、言葉の裏には微妙なニュアンスの変化や、前提条件の違いがあるかもしれないということ。
小さなタスクでも、都度の確認や伝え方に注意を向けることは、最終的にクオリティを守ることになる。
以来、私は自分から「細かくて申し訳ないんですが、念のためこの部分も確認させてください!」など、一歩踏み込むようになりました。
関わるのはしんどい。でも、親しみが生まれることもある
最初のころは、人とのやりとりが本当に苦手でした。
テキスト上のやり取りは顔が見えない分、淡白になりがちですし、なんだかそっけないものに見えます。
「何をどう伝えたら角が立たないか」そんなことばかり考えて、文章を打っては消して…の繰り返し。正直「面倒くさ!」と感じていました。
でも不思議なもので、何度かやり取りを重ねていくと、少しずつその人に親しみがわいてくるんですね。
その人のスピード感や、言葉のクセ、依頼や相談の仕方など。やりとりの回数が増えるほどに、どんな人が分かり、慣れてくるといってもいいでしょうか。
最初のころの「相手がどう思うか分からないから困る」というわずらわしさや距離感の気まずさを、やり取りの回数を重ねることで乗り越えていくと、気軽に話ができるようになります。
そのうち「お子さん、小学校入学っていってたな。新生活、もう慣れたかな?」とか「前に体調崩してたけど、元気になったかな」とか、打ち合わせの前にふと相手のことを考えるときがあります。
そのときに「あ、ちゃんと関わってるな」と感じるようになったのです。
関係が築かれてくると、連携もスムーズになり、仕事のスピードや質にも好影響がありました(仕事そのものに、より集中できる)
クライアントも私も、最終的には「良い仕事にしたい」という同じゴールを持っている。
その思いに寄り添えたとき、自分の仕事にやりがいや意味が生まれていくのを実感しました。
関わり方を自分らしく整えていく
もちろん、すべてのやりとりが気持ちの良いものではありません。
・何度も同じことを聞かれる
・急な変更がある
・感情的なやりとりになりそう(もうなってる)
など、ストレスを感じる場面もあります。
そんなときは、一度深呼吸して落ち着く。
そして
・まずはお礼を伝える
・一番伝えたいことを明確に言葉にする
・決めつけず「~だと思うけれど、いかがですか?」と相手にゆだねる
など、自分なりの丁寧な対応を心がけるようになりました。
無理に愛想よくふるまわなくても、誠実に向き合えば、ちゃんと伝わることがあります。
そう、だんだんと思えるようになってきました。

「人間だもの」という名言を思い出すにゃん!by相田みつをさん
関わることは、自分の仕事を大切にするための土台
今の私にとって「人と関わること」は、仕事を自分らしく楽しむための土台です。
それによって仕事のクオリティを維持したり、少しずつ上げていくことができると思っています。
「人と関わるのが苦手だから、フリーランスに」
そんな思いでこの働き方を選んだ方も、最初から上手にやろうとしなくて大丈夫です。
まずはひとつひとつの関係を、自分に無理のない範囲で大事に扱う。
そうしていく中で、「関わることがしんどい」から「関わることで仕事が楽しくなる」に変わっていくこともたぶんあると思います(たぶんかい)